腹黒いことは苦手だ。人を自分の有利になるよう利用することしか考えていない打算的な人。
心とは裏腹にわざとらしいおだてをして、相手を喜ばせて取り入ろうとする。
腹黒いって言葉にはそんなイメージがあった。
もちろんそんなことをしたいとは思わなかったし、やろうとしてもそんな器用なことは出来ない。
ところが
そんな僕が今日、意識して腹黒く演じてみることにした。
今までの自分とは違って好かれようとする。少し好奇心が沸いたのが理由だ。
商談の相手の方は60代。僕より遥かに経験豊富な方なので次のように意識して臨んだ。
「(この人は素敵な人だなぁ。こんなに詳しくて凄く丁寧に教えてくれて嬉しいなあ。)」
相槌を打つときは、
「うわぁ〜ここがちょうど分からなくてモヤモヤしていた所なんですよ!噛み砕いてご説明頂いて凄くスッキリしました!!(詳しい上に分かりやすくて尊敬します!!)」
「へぇ〜〜確かに仰る通りの結果ですね!全く気付きませんでした(スゴイ!)。」
少し前の自分ならとてもじゃないけど言えない歯が浮くようなセリフを吐いて吐いて吐きまくった笑。
こんなやり取りを交わしながら30分ほど経ったときに、僕の心境に変化が。
相手の方は僕の聞いたことや反応に対して凄く嬉しそうに答えてくれている。
その嬉しそうな表情を見ながら話していると、
と、あれこれ考えるようになって、何だかこっちまで凄く嬉しくて楽しい気持ちになった。
最初はあえて意識して素敵だなーって思いながら話しをしていた。けれどいつの間にか特に意識しなくとも本当にこの人は素敵だなーって思うようになっていた。
聞きたいことを聞き出すために好いてもらう。そんなちょっぴり腹黒い動機からスタートした商談だったが、相手の良い所を見つけるという本来の目的以上の大きな収穫があった。
打算的で自分のために利用するというイメージのあった腹黒さ。しかし使い方次第、どこに意識を注ぐかで全く意味合いの異なる結果となる。
腹黒くてもイイ!これまでの抱いていたイメージが変わった1日だった。
おしまい。